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2011年10月01日

ボクの修行時代 その5

青春ドラマは数多くあり、その主題歌はやたら力強く夕日に向かって駆け出したり、飛び跳ねたりしていたのだが、この頃ブレイクした小椋佳さんの歌はどれも穏やかで、しかも歌詞は難解だった。今聴き直しても意味がわからない。ボクの仲間は皆最後まで歌えたが、その意味となるとわかるやつなど誰もいなくて、 「男の旅に意味なんかあるか!!」 というところに落ち着いてしまう。それなのに、「俺たちの旅」といえば、小椋佳さん抜きでは考えられないし、この頃を思うと小椋さんの歌がすぐ浮かぶ。

朝からキヌカツギと温泉卵を仕込む。袋に詰め、バイクに載せて走る。吉祥寺南口の丸井裏から井の頭公園へおりる坂道は、まさしくこの 「木の葉模様の石畳、まばゆく白い長い壁」 だった。社長の喜ぶ顔を思い、全部売りきって店に戻る覚悟でバイクを押すのだが、この坂道を歩くとめげる。若いカップルに出くわすと目を背けてしまう。なるべくひと目につかない場所にバイクを止め、少し離れた場所で軽く身体を動かし、いかにも朝の体操しているフリをする。

頃合を見てパチンコにでも行くかと思っていたところ、「北村~~!!」 という、社長の声。振りかえるとなんとこのM社長、高架線の脇に隠れてずっとボクの行動を監視してたのだ。真っ赤な顔してこちらにむかってきてる。捕まったら相手は柔道6段軍隊上がりの猛者、とてもではないがちぎり飛ばされてしまう。あわてて大声を出し、社長から逃げながら 「イモがありますよ~、おいしいよ~、あったかいよ~!!」

次の週からボクは作戦を変え、公園へ行く前に売りつくす方法を取った。出前先で仲良くなっていたおじいちゃんおばあちゃんや、近所の知り合いの店の店番をしているおばあちゃんたちに泣きついたのだ。100円という安さ、イモやタマゴなので押し売りされてもなんとでも使えるということもあるのか、あっというまに完売していた。

でもこのイモとタマゴ戦略も、記憶はあやふやなのだがいつのまにかやらなくなった。今思うと、喜ぶ客はいても、利益には結びつかないことをこの社長が一番知っていたのかもしれない。それからほどなくして、吉祥寺本店は売却。串売りの店は閉業。ボクは23歳になっていた。

ただお前がいい エンディング

投稿者 sushitomi : 2011年10月01日 22:59

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