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2006年04月03日
卒業証書
18歳の誕生日は、ひとり東京で迎えました。
都内某大学校舎の掲示板で、自分の番号がないのを確認した私は、いったん校舎を後にしたものの、念のためもう一度戻って再確認。そして、4月からともに学ぶはずだった仲間たちに、挨拶をすることもなく、別れを告げたのでありました。
勉強不足にだけは自信があった私は、わりとサッパリしていたのですが、問題は田舎で吉報を待つ家族への電話です。これはちと青年の身には経験が不足しており、とりあえず明日に延ばすことにしました・・・・・
手元に、普段持ちつけない小金がたんまりとあるのを確認した青年は、そこでとっさに旅を思い立ちます。受験に失敗しておいて、羽田空港からサクラ舞う南国九州へひとッ飛びなんて、繊細な私には考えられなかったんですね。
こうなるとやはり雪国です。上野駅から北へ向かう夜汽車というのが、最善の旅だとは思ったのですが、さすがに逆方向ははばかられたので、北陸行き選びました。冷静ないい判断です。当時読み漁り、あこがれた、無頼派作家坂口安吾の石碑が新潟の寄居浜にありましたので、まずそこを訪れます。ワンカップの酒を買い、石碑にかけ、私が飲むという行為を数回繰り返した青年の気分は、すでにすっかり無頼派の仲間入りです。思えば、私のミーハー精神はこの時期に確立されつつあったんですね。
北陸といえば次は金沢です。雪の兼六園をぐるぐると徘徊した私は、その寒さに耐え切れず、とりあえずホテルを探します。当時若者の宿といえばユースホステルに泊まるのがキメです。バスに乗り、そのホテルに着いた時は生まれて初めての大雪、しかも吹雪ではないですか。傷心状態の青年に降りかかったもってこいの状況になったのです。
一夜明けて、次に目指すはとうぜん能登半島ですよね。ルートを念入りにチェックし、その後日本海沿いに山陰の地をたどれば完璧な旅だと思ったところで、「あれ? 家にまだ電話してなかった!!」 あわてて実家に電話を入れると、よりによってオヤジが出ちゃうんですよねえ。こんな時にかぎって。そこでようやく、青年は夢からさめるのでありました。
「なんばしとるかこのバカタレが!! 学校から電話があって、卒業式に親も子も出らん!!卒業証書も取りに来とらんのはうちだけてぞ!!!。」
投稿者 sushitomi : 2006年04月03日 06:21
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